空き家相続には相続税がかかる？計算方法や相続税を軽減する方法を解説

空き家を相続したものの、維持や管理の方法に悩む方も多いのではないでしょうか。相続により取得した空き家には、状況によって相続税が課されることがあり、事前に税額の把握や対策をしておかないと、思わぬ負担になることもあります。

空き家相続に関する税制度は複雑ですが、条件を満たせば節税も可能です。本記事は、相続税についての基礎知識や計算方法、相続税を軽減する方法などについて解説しました。空き家の売却を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

空き家を相続すると相続税がかかる

空き家を含む不動産を相続した場合、相続財産の総額が基礎控除額を超えると相続税が課税されます。

相続税の申告・納付は相続開始から10ヶ月以内に行う必要があり、納税資金の準備が難しい場合は空き家の売却を検討することもあります。特に遠方の空き家は管理の手間やコストも考慮すると、相続後の早期売却が選択肢となるケースも少なくありません。

また、不動産も財産の一部として評価されるため、空き家を所有していなかったとしても、土地や建物の評価額次第では課税されることがあります。相続した空き家を使う予定がない場合でも、税金の発生には注意が必要です。したがって、早めの対策を心がけましょう。

空き家相続における相続税はどう計算する？

空き家相続時の相続税は、まず相続財産全体の評価額を算出するところから始まります。空き家の土地は路線価（公示価格の約8割）を基に計算し、建物は固定資産税評価額が基準です。老朽化した空き家は建物評価が低くなる一方、土地の評価額が相続税額を大きく左右します。

次に基礎控除額（3,000万円＋600万円×法定相続人数）を相続財産総額から差し引き、課税遺産総額を算出します。この課税遺産総額を法定相続分で各相続人に配分し、各人の取得金額に税率（10～55%の累進税率）を適用して相続税額を計算します。

計算例として、評価額5,000万円の空き家を含む総額7,000万円の遺産を子2人が相続する場合、基礎控除額は4,200万円となり、課税遺産総額は2,800万円です。各人の取得金額1,400万円に対して税率10%を適用すると、各人の相続税額は基礎控除後で約140万円となります。

空き家相続における相続税を軽減する方法

空き家を相続した場合でも、条件を満たすことで相続税を軽減できる制度があります。ここからは、空き家相続における相続税を軽減する方法について解説します。

• 小規模宅地等の特例を活用する
• 3,000万円特別控除を活用する
• 配偶者控除や生命保険を活用して相続税を圧縮する

これらの制度を上手く使うことで、相続に伴う経済的負担を減らすことが可能です。以下で詳しく解説します。

小規模宅地等の特例を活用する

空き家相続時の相続税負担を軽減する有力な方法のひとつが『小規模宅地等の特例』です。この特例を活用すると、被相続人の居住用宅地（空き家の土地部分）は最大330㎡まで評価額が80%減額されます。例えば5,000万円の評価額の土地であれば、1,000万円として相続税評価できる大きな節税効果があります。

ただし、適用条件が厳しく、被相続人が亡くなる直前まで実際に居住していたことや、相続人が相続開始から3年以内に売却しないことなどの要件があります。また、相続人が配偶者や同居していた親族であるなど、相続人の属性によっても適用条件が変わるため注意が必要です。

税理士に相談し、適用要件を正確に確認することをおすすめします。

3,000万円特別控除を活用する

3,000万円特別控除とは、相続した空き家を売却した際の譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。これにより、譲渡所得税の大幅な軽減が可能です。

適用条件として、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することや、1981年5月31日以前に建築された建物であること、相続前に被相続人が居住していたことなどが必要です。また、売却前に耐震リフォームを行うか、取壊して更地にして売却する必要があります。

空き家を相続したら早めに特例適用の可能性を検討し、要件を満たす場合は期限内に適切な対応をすることで、税負担を大きく軽減できる貴重な制度です。

配偶者控除や生命保険を活用して相続税を圧縮する

空き家相続を含む相続税対策として、『配偶者の税額軽減』と『生命保険金の非課税枠』の活用も効果的です。配偶者が遺産を相続する場合、法定相続分または1億6,000万円までは相続税が課税されないため、空き家を配偶者が相続することで税負担を大きく軽減できます。

また、生命保険金には『500万円×法定相続人の数』の非課税枠があります。例えば法定相続人が3人なら1,500万円まで相続税が課税されません。生前に被相続人が保険契約者・被保険者となり、相続人を受取人とする生命保険に加入しておくことで、相続財産の一部を非課税で相続できます。

さらに、相続時精算課税制度や死亡退職金の非課税枠など、複数の特例を組み合わせることで、空き家を含む相続税の総額を効果的に圧縮できる可能性があります。

空き家相続時の相続税の支払いの流れ

ここからは、相続税の支払いの流れについて解説します。主な流れを以下にまとめたのでご覧ください。

1. 相続の発生と相続財産の確認
2. 相続税申告のための財産評価
3. 法定相続人の確定と法定相続分の算定
4. 相続税の申告と納付
5. 特例措置の活用検討

空き家を相続した場合、まず相続開始から3ヶ月以内に遺産分割協議を行い、相続人間での財産分配を決定します。次に不動産鑑定士などによる空き家の適正評価を行い、相続税の課税対象額を確定させます。

基礎控除（3,000万円＋600万円×法定相続人数）を超える場合は相続税が発生するため、10ヶ月以内に申告・納付が必要です。納税資金が不足する場合は、延納制度や物納制度の利用も検討できます。

空き家が『特定空家等』に指定されている場合は固定資産税の軽減がなくなる可能性もあるため、早期の対応が重要です。

相続した空き家を売却するなら、不動産会社選びが重要

相続した空き家を売却する際、適切な不動産会社選びが成功の鍵となります。まず、空き家の所在地に精通した地域密着型の不動産会社を選ぶことが重要です。地元の市場動向や需要を熟知している会社は、適正価格での迅速な売却が期待できます。

また、相続物件や古家の売却実績が豊富な会社を選ぶことも大切です。相続空き家は権利関係の整理や名義変更、境界確定などの手続きが必要な場合が多く、これらに精通した会社は煩雑な手続きをサポートしてくれます。

契約形態も重要な選択ポイントです。遠方に住んでいる場合は、現地対応や定期的な経過報告を確実に行ってくれる専任媒介契約が安心です。複数の不動産会社から査定を取り、単に価格だけでなく、提案内容や対応の丁寧さ、アフターフォローなども比較検討することで、満足のいく売却が実現できるでしょう。

宮崎県日向市でおすすめの不動産会社

宮崎県日向市で空き家の相続後に売却を検討している方に向けて、地域で信頼されている不動産会社を2社ご紹介します。

• 大興不動産日向
• カチタス延岡店

大興不動産日向

大興不動産日向は、日向市・門川町エリアで賃貸・売買を扱う地域密着型の不動産会社です。空き家バンク登録物件を積極的に掲載しており、空き家の売却や活用にも対応しています。

地域の物件情報を豊富に保有し、タイムリーな更新で売却希望者にも有益な情報提供を行っています。現地の需要や特性を熟知したスタッフが対応してくれるため、空き家処分や相続不動産に悩む方は、大興不動産日向に相談してみてはいかがでしょうか。

カチタス延岡店

全国で130以上の拠点を持つ『カチタス』の延岡店は、古くなった空き家や中古住宅の買取・再販を専門に行う会社です。

特に査定から現金化までが迅速で、最短3日での価格提示、3週間以内の決済にも対応。リフォーム前提の自社買取を行うため、仲介とは違い、売却後のトラブルリスクがないのも安心ポイントです。

『他社では断られた物件』にも門戸を開いており、空き家売却に悩む方にとって信頼できる選択肢です。

まとめ

空き家を相続した場合、相続税が課される可能性があり、正しい計算と対策が重要です。相続税は基礎控除や評価方法によって金額が大きく変わりますが、特例制度や控除を活用することで負担を軽減できます。

また、相続税の支払いには期限があるため、早めの準備と専門家への相談が不可欠です。相続後に空き家を売却する場合は、不動産会社選びが成功のカギを握ります。制度と流れを理解し、適切な判断を行うことで、安心して相続を進めることができるでしょう。